2014/09/20

9/11-14 裏銀座ハイク Day.3

Day.2の続き。



Day.3 双六小屋-濁沢

//参考DATA//
距離:20.9km
累積標高:1,490mD+

<通過タイム>
三俣蓮華岳 2:00
鷲羽岳 4:00
水晶小屋 5:30
水晶岳 6:00
野口五郎岳 9:40
烏帽子小屋 11:00 
濁沢 12:40


標高2600mの双六小屋。さすがに寒い。
全ての衣類を着込んでも寒い。おまけにツェルトがバタバタとはためく度に、結露の滴がピシャピシャと顔に引っ掛かりストレスMAX!(笑)

・・・そんな眠れぬ夜を過ごしたが、明けない夜は無いのです。


4時にテントから脱出し、オニオンスープを一杯飲み、昨日同様5時に出発するべく準備を進める。

3日目は双六小屋から烏帽子小屋まで裏銀座を一気に歩き抜けるロングコースで、コースタイムは今回最長の12時間45分。
さらに烏帽子小屋のテント場キャパは20張とのことなので、気合を入れねば。。。

しかし、早速トラブル発生。 コンタクトレンズが目にくっ付かない。。。
 寒さのせいなのか、何度やっても指からレンズが離れないんですが(笑)

 死闘の末に、奇跡的にピタッと目にくっついたのでようやく出発。
このささやかな事件により出発が30分遅れる。

少しでも時間を圧縮するべく、双六岳山頂は通らず巻き道を選択。

昨日歩いてきた槍ヶ岳を何度も振り返りながら、なんとも気持ちの良いトレイルを進む。

分岐に荷物をデポして、三俣蓮華岳に寄り道。

三俣蓮華岳を登りきると、黒部五郎岳、薬師岳、笠ヶ岳、御嶽山など錚々たる顔ぶれがそこにはあった。
黒部五郎岳、そして薬師岳。次回はあっちを歩きたいですなぁ。

分岐に戻り、三俣山荘、そしてそこから始まる鷲羽岳のキツイ登りへ向かう。

登る力が全然足りなくて、何度も休憩。健脚なオッチャン達に道を譲ってしまう始末。(きっと自分の方が荷物が軽いだろう・・・)

鷲羽岳は遠くから眺めてるだけで気持ちの良い山なので登らなくてもいいわ~(笑)、とかブツブツ文句を呟きながらようやく山頂へ。

山頂からは、これから歩く長い長い稜線が続いているのが見える。山ごとに色に特徴があって面白い。

少々滞在の後、先を目指す。次は水晶小屋だ。
水晶小屋まではやたら日差しが強くて、暑さとの闘い。緩やかに登るトレイルがいやらしい。

完全にバテバテモードで水晶小屋に到着。
三ツ矢サイダーを一本頂く。
腹ごしらえもしたかったので、アルファ米に水を入れてから水晶岳へ寄り道することに。 往復70分とのことなので、戻ってきたら米が出来ているという算段ですね。

ちょっとした岩場を何度か越えて、水晶岳山頂。読売新道へ向かう赤牛岳、そしてその先に黒部ダムが見えた。随分と奥深いところまで来たんだなということを実感する。

このあたりから雲がモクモクと湧き始めて、槍の穂先は早くも隠れてしまった。さようなら、またいつか。


水晶小屋に戻り、出来上がった冷たいお米でハヤシライスを食べながら考える。

ここまでで、実はコースタイムとほぼ同じ時間で来ていた。歩き続けているけどペースが上がっていないみたい。
水晶小屋の時点で12時で、ここから烏帽子小屋まで5時間掛かる。どう見積もっても15時前に到着できそうにないし、テント場の確保も絶望的な気がしてきた。

そうは言っても先に進まなきゃいけないし、もういっそのこと大枚叩いて小屋泊でもいいか。
寒さからも解放されるし、ゆっくり寝れそうだし。。。という心境になりながら、気楽に烏帽子小屋を目指すことに。


このあたりから七倉から上がってきたハイカーともすれ違うようになり、「今日は烏帽子激混みですよ」情報を何度も聞かされた。


混んでる小屋は絶対嫌だなぁ。。。

じゃあ手前の野口五郎小屋に泊まる?

でも烏帽子小屋から流れてくるハイカーも居るだろうから野口五郎小屋も混むんじゃないだろうか?・・・


などと考えたところでどうしようもないことを思案しながらとりあえず野口五郎岳を目指す。

野口五郎岳が近付くにつれ、ごろごろした岩場が多くなってきた。岩にペイントされているマークを見失わないように、さらに捻挫に注意しつつ進む。


そして段々とガスが自分のところにも押し寄せてきて、野口五郎岳に着いた頃にはすっかり雲の中に。
人も居ないし、景色もないし、一面が白い砂と石。なんだか異世界に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥る。

野口五郎岳山頂からすぐ近くに野口五郎小屋が建っている。
屋根には大きな置き石が敷き詰められていて、過酷な環境下に建っていることは容易に理解できる。それだけに、ここに小屋があることがどれだけ心強いことだろうか、と感慨に更けながら烏帽子小屋を目指す。

相変わらず雲の中で、マークを追いながら歩いていたのだが、途中マークが全く見当たらなくなってしまった。

「お、こっちがコースっぽいな。でもやたらテクニカルだなぁ・・・」

と下の方に続く道を進んでみたものの、何か様子がおかしい。道が険しすぎるし、他のハイカーが付けた足跡も見当たらない。
そして何より、稜線を歩くコースなのに、こんなに下降するはずないよね。。。とコースをロストしてしまったことに気付いたものの、既にどこからロストしてしまったのかわからないほど進んでしまったため、戻るにも戻れない。

『遭難』

そんな二文字が脳裏をよぎって今回の旅で最も緊張する事態に陥ったが、ちょっと冷静になって、 「とりあえず直登するしかないでしょ」という結論に至り、無理矢理稜線を目指すことにした。
細心の注意を払い、岩をよじ登っていく。

ようやく稜線に辿り着いたものの、コースが見当たらない。
そんなはずは・・・ (焦)

すると、前方にこちらへ向かってくるハイカーを発見。
あぁ、良かった。あの人目指して歩いていけば何とかなりそうだ。

半分涙目、小走りで救世主(ただ歩いてるハイカーですが)の元へ歩いていくと、ようやくコースに合流できた。
どうやら稜線の反対巻きにコースがあったらしい。

大事には至らなかったけれど、軽率な判断は命取りになると改めて反省しなければならない。
ハインリッヒの法則(1件の重大な事故の裏には29件の軽微な事故が・・・的なヤツ)を反芻しながら歩いていると、雲の中から抜け、再び美しい稜線歩きに。

雲の中を進んでいる内に、いつの間にか周りの景色は変化しており、烏帽子岳やそこから繋がる針ノ木岳などの美しい山容が見渡せる。

今回は烏帽子で離脱することになるけれど、日本海まで歩き抜けてみたいものですな。
三ツ岳を過ぎ、烏帽子小屋へ下るところで、久々に街が見え、 旅の終わりが近付いていることを知らせてくれるようである。

ご褒美なのか、ブロッケン現象にも初めて遭遇。感激です。

 そうこうしてる内に、烏帽子小屋に到着。
案の定、テント場は埋まっていて、張るのに苦労しそうな感じ。
そして下手なところに張ったら、また風や寒さと格闘しなければならないと思うと全く気分が乗らない。
また、小屋泊まりにするにも大繁盛してそうな気配がプンプン漂っている。

とりあえず、冷えてるというよりシャーベット状になっている"冷えすぎ"ペプシを頂きながら、地図を見つつ、しばらく作戦立案。


「ん?このテントマークなんだろう?」


ブナ立尾根登山口と高瀬ダムの間にテントマークが書いてある。
もしかしてここにテント張れるんじゃないだろうか。

早速小屋のご主人に聞いてみたところ、烏帽子小屋または高瀬ダムの管理センターでキャンプ代を支払えば利用できるよ、とのことだった。


計画上では、翌朝サクッと烏帽子岳を登って下山予定だったが、それはまたの機会に、とキッパリと諦めて濁沢へ下ることを即決して500円支払う。

この時点で時刻は既に16時半を回っていて、日没まであんまり時間がない。
できれば明るい内にテント張りたいが、コースタイム上では高瀬ダムまで3時間30分となっている。

 行けるとこまで攻めてみるか・・・ 

北アルプス三大急登として知られる尾根だけあって、結構な傾斜だったが、トレイルランニングに親しんだ日頃の成果を発揮するべく、全力下山。

尻餅2回ついたものの(笑)、1時間で登山口まで降りきることができて一安心。
登山口の横に水場があって、バシャバシャと水浴びするのが気持ち良い。

降り立った場所は随分だだっ広い砂浜みたいなところで、どこへ行けばいいのかわからない(笑)どうやら旗が目印になっているらしく、足跡と合わせて辿って行ったら橋があった。(これ、ほんと夜じゃなくて良かった・・・)

しばらく進むと、開けた土地が。ここが濁沢のテント場みたい。
でも誰もいない・・・管理人もいない。

もう18時だし、これからテントを張りに来る人もいないだろう。
テント場なのに孤独な夜・・・なんとも不気味(笑)

とはいえ、標高は1200メートルほどまで下りてきているので、気温を気にすることもなく、周りの音を気にすることもなく(逆にガサガサと音がし始めたら超怖いけどw)、気持ち良く寝ることができるだろう。

最良の判断をしたものだ、と自分を褒めつつ、余った食糧を一気に平らげて、だらだらと寝床に着く。
明日はひたすら道路を歩くことになり、実質旅は今日でおしまい。
歩いてきたトレイルを振り返り、改めて感動を噛みしめていたら、いつの間にかグッスリ寝ていた。


Day.4に続く